シーリングの工法「打ち替え」と「増し打ち」とは?正しい工法の使い分け方
投稿日:2024年6月19日
目次
外壁塗装と同じように定期的にメンテナンスを必要とするのが「シーリング」です。
シーリングのことをコーキングとも呼びますが、これは建物に生じる隙間を塞ぐためにも用い、防水性や気密性を保つ大事な役割を担っています。
シーリングは10年程度が耐用年数となりますので(近年では耐久性の高いシーリングも登場しております)、同じ頃に塗り替えが必要になる外壁塗装と一緒によく行われます。
シーリング工事には「打ち替え」と「増し打ち」の2つの工法があります。
防水に関わり、工事費にも影響してきますので、ぜひこれらの工法の違いを押さえておきましょう。
本記事ではシーリング工事の「打ち替え工法」と「増し打ち工法」について解説いたします。
シーリング工事とは?定期的にメンテナンスが必要な理由
シーリング工事とは建物に充填されているシーリングを新しく打ち直す工事です。
劣化してくるとひび割れや破断、剥離、縮みなどの症状が出てきます。
水が内部に流れ込みやすくなりますので、適切な時期に新しく打ち直すことが大切です。
シーリングが打設されているのは以下の箇所です。
・窓や玄関などの開口部
・サイディングやALCなどのボード型外壁の目地
・破風板や軒天井などの継ぎ目、取り合い部
・屋根板金
・配管の引き込み部
など
シーリング工事についてはこちらの「シーリング工事とは?外壁塗装と一緒にメンテナンスしておきたい防水工事」もご参考にしてください。
また、外壁や屋根材に生じたクラックを補修するときにもシーリングを使用します。
屋外以外にお風呂やキッチン、洗面所などの水回りにも使用されており、意外と身近なところで目にすることができます。
クラックの補修工事についてはこちらの「外壁にクラックがあったら早めに補修工事をしましょう!原因と補修方法解説」をご覧ください。
シーリングの工法「打ち替え」と「増し打ち」とは?
少し専門的なことになりますが、シーリングの工法には「打ち替え工法」と「増し打ち工法」の2つがあります。
ここまで具体的な施工方法を業者がお伝えするかは分かりませんが、施工方法の違いでまったく効果や耐久性が異なります。
適切な工法で施工されていなければ、すぐにシーリングが剥がれてきたり、水が内部に流れてきて被害を拡大させたりするかもしれません。
気になることは業者に必ず質問すること基本です。
まずは、「打ち替え工法」と「増し打ち工法」の違いをご説明いたします。
打ち替え工法
打ち替え工法は「既存シーリング撤去後、新しいシーリングを充填する工法」です。
古くなったシーリングを剥がしてから新しいシーリングを充填するのは当然のように思えますが、次にお伝えする「増し打ち工法」がありますので、まずは打ち替え工法とはどんな工法か押さえておいてください。
増し打ち工法
続いて増し打ち工法です。
この工法は「既存シーリングを残して、その上に新しいシーリングを充填する工法」です。
2つの工法には「古くなったシーリングを撤去」と「古くなったシーリングを残す」という明らかな違いがあります。
ただし、増し打ち工法は完全に既存シーリングを残すのではなく、できるかぎり剥がすようにしています。
なぜ増し打ち工法はすべてのシーリングを撤去しないのか、そもそも工法をどう使い分けるのかについて、次の項で詳しくご説明いたします。
シーリング工法の正しい使い分け方
シーリング工事を行う目的は、古くなったシーリングを新しく打ち直して建物の防水性と気密性を改善することです。
ですから、シーリングの効果が発揮されていなければ工事をする意味がありません。
シーリングの施工では一般的にシーリング厚10mm以上を確保するように推奨されています。
注意しなければならないのが、増し打ち工法は打ち替え工法と比べて充填深さが浅くなることです。
充填深さがちゃんと確保されていれば、シーリングに厚みをつけることができますので、シーリング工事では基本的に打ち替え工法で行うのが理想です。
それでは、なぜ増し打ち工法があるのかというと、それは打ち替え工法に適さないところもあるからです。
窓や玄関は外壁を開口して取り付けられているため、水が入りやすい構造になっています。
また、入隅(外壁や部材などが内側に向かって接する箇所。図形で例えると内角に当たるところ)は隙間が狭いため、奥までカッターの歯が入らず、完全にシーリングを撤去することが困難です。
外壁の下には防水紙がありますので、カッターの歯で傷つける恐れがあります。
このような水の侵入や防水紙を傷つけるリスクがあるところでは増し打ち工法が適しています。
増し打ち工法では、どうしても打ち替え工法よりも充填深さが浅くなるため、シーリング厚を確保するために三角シーリングなど工夫を施す必要があります。
また、既存シーリングを撤去できる部分はできるだけ取り除き、充填深さを確保することが大切です。
どちらの工法が優れているというわけではありません。
各工法の適所というものがありますので、状況を的確に判断して適切な工法を使い分けることが非常に重要です。
お施主様もどんなふうに工事をするのか確認することが大切!
シーリング工事の施工方法は専門的なことではありますが、建物の防水性や気密性、工事に掛かる費用などとても大事なところに関わっています。
シーリングの工法まで詳しく説明する業者がどこまでいるかも分かりません。
ですから、お施主様ご自身でもどんなふうに工事をするのか確認することが大切です。
見積もりの内訳をよく確認し、業者から工事について詳しく説明をもらいましょう。
気になることやご不明な点は必ず質問して疑問を残さないことが重要です。
当社では事前に建物診断を実施し、建物の状態や必要な工事など詳しくお伝えさせていただきます。
わからないことやご要望などがありましたらお気軽にお話しください。
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