葺き直しとは?メリット・デメリットや葺き替えの違いを解説します!
投稿日:2023年6月30日 更新日:2023年6月30日
目次
屋根リフォームには「葺き直し」という工事があります。
「葺き直し」は瓦屋根に特化する工事。
現在採用が多いスレートや金属屋根では葺き直しを行いません。
似たような工事で「葺き替え」がありますが、「葺き直し」とはどう違うのでしょうか。
本日は、瓦屋根に行う「葺き直し」についてお伝えしていきたいと思います。
【葺き直しとは?】
「葺き直し」とは瓦屋根に行うメンテナンス工事。
言葉の響きが似ている「葺き替え」と大きく違うのは、現在の瓦を再利用できることです。
「葺き直し」は現在の瓦を取り外し、下地材の補修や補強、下葺き材(防水紙)の張り替えを行ってから、漆喰や瓦を元に戻す工事です。
「葺き直し」は頑丈な瓦だからこそできる工事。
スレートや金属屋根では、取り外したときに割れてしまったり、歪んでしまったりするため、再利用できません。
「葺き直し」は瓦を再利用できるため、材料費を抑えながら、屋根の耐久性や防水性を高めることができます。
瓦は台風など強風によって飛ばされてしまう被害が多発しているため、現在ではすべての瓦を釘止め(緊結固定化)するように義務付けされています。
瓦の固定化が告示されたのは2020年12月7日、施行は2022年1月になるため、それ以前の瓦は被害を受ける可能性が高いです。
まだ瓦の固定化がされていない建物のでしたら、補強も兼ねて「葺き直し」をご検討してみてください。
当社は無料で建物診断を実施しております。
診断後はお客様に最適な工事プランをご提案いたしますので、メンテナンスのことでなにかお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。
無料診断はこちらの「屋根・外壁0円診断」をご覧ください。
【そもそもなぜ耐久性が高い瓦を葺き直ししないといけないのか?】
日本瓦や洋瓦と呼ばれている瓦は、頑丈で非常に耐久性が高いです。
釉薬瓦は耐用年数が60年以上、素焼き瓦やいぶし瓦は40~50年と言われています。
日本の戸建住宅の寿命は30年が平均ですので、これだけ耐用年数が長ければ「葺き直し」をする必要はないのではないのかと疑問に思いますよね。
しかし、瓦は丈夫でも下葺き材や下地材など他のものはそこまで保ちません。
下葺き材や漆喰の耐用年数は約20年でして、劣化したまま長期間放っておけば最悪は雨漏りを引き起こしてしまいます。
瓦はまだ長く使えても、他のところで寿命を迎えてしまうため、屋根を維持するために「葺き直し」を行うのです。
雨漏りについてはこちらの「雨漏りが起きたらどんな修理が必要?」を御覧ください。
【葺き直しのメリット・デメリット】
【メリット】 | 【デメリット】 |
・外観を変えずに強度や防水性を高められる ・瓦を再利用するため材料費がかからない |
・同じ瓦を入手できるとはかぎらない ・人件費は葺き替えと変わらない ・良くも悪くも外観は変わらない ・耐震性の向上ではやや効果が低い ・施工できる職人が少ない |
業者によっては葺き直しを勧めていないところもいます。なぜ葺き直しを勧めていないかというと、同じ瓦を入手できない可能性があることと人件費が葺き替えとあまり変わらないからです。
現在の屋根材はガルバリウム鋼板やスレート、シングル材など軽量であることも葺き直しよりも葺き替えを勧める理由の一つ。
瓦は1㎡あたり約50kgなので建物への負担が大きく、耐震性では不利です。
重量のある屋根から軽い屋根に葺き替えることで、建物の重心が下がり、耐震性を高めることができるため、耐震性を優先するのなら、葺き直しよりも葺き替えの方がいいでしょう。
屋根葺き替え工事についてはこちらの「屋根葺き替え工事とは?メリット・デメリットを詳しく解説します!」をご覧ください。
【葺き直しの施工手順と工事期間】
【葺き直しの施工手順】
瓦の葺き直しは以下の流れで行います。
【瓦葺き直しの施工手順】
1:瓦の撤去
2:土の撤去
3:下地補修と補強
4:防水紙敷設
5:瓦桟の設置
6:瓦の葺き直し
7:漆喰の詰め直し
8:葺き直し完了
瓦屋根のメンテナンス方法についてはこちらの「瓦屋根を放っておくのは危険!放置するリスクとメンテナンス方法をご紹介!」をご覧ください。
【葺き直しの工事期間と注意点】
古い工法を採用している瓦屋根は、土葺きになっているため、撤去する時は砂埃が舞います。
近隣の方にも影響がでますので、工事を行う時は事前に近隣挨拶を行っておくことと、砂埃が飛散しないように足場にメッシュシートを取り付ける必要があります。
近隣トラブルについてはこちらの「外壁塗装、屋根塗装の失敗例 第3位は?」をご覧ください。
「葺き直し」は瓦の下ろしと戻しに手間がかかるため、「葺き替え」よりも日数がかかることも注意しましょう。
「葺き直し」の工事日数は3~10日程度。
ただし、外工事なので雨で工事が遅延する可能性があります。
また、屋根形状や瓦の状態によっても工事日数に影響します。
「葺き直し」に限らずですが、屋外工事の工期は天気で左右されますので、スケジュールにゆとりを持たせて計画しましょう。
瓦屋根は「棟の取り直し」もあります。
「棟の取り直し」は棟瓦を取り外し、古くなった葺き土や漆喰を取り除き、新しくしてから棟瓦を積み直す工事でして、工事日数は1~3日ほどかかります。
瓦工事についてはこちらの「瓦屋根・漆喰工事」もご覧ください。
【葺き替えと葺き直しはどちらがいいか?】
ここまで「葺き直し」についてご説明してきましたが、気になるのは「葺き直し」と「葺き替え」のどちらを行えばいいかではないでしょうか。
葺き直しを勧められるのは「陶器瓦(釉薬瓦)」や「素焼き瓦」「燻瓦」の3つの瓦。
瓦を再利用するため、材料費を抑えて屋根の寿命を延ばすことができます。
また、外観を変えたくないという方にも「葺き直し」はお勧めです。
ただし、瓦でも塗装が必要になるモニエル瓦やセメント瓦は「葺き直し」のメリットが少なく、あまりお勧めできません。
また、耐震性を気にしている方も葺き直しよりも葺き替えが合っています。
屋根の状態や形状、施工状況でも適している工事は変わりますので、気になっている方は、一度専門業者ニ相談してみることをお勧めします。
当社は無料で建物診断を行っておりますので、屋根工事のことでお困りでしたらお気軽にご相談ください。
無料診断はこちらの「屋根・外壁0円診断」をご覧ください。
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