屋根塗装の時に知っておきたい!屋根勾配ってなに?

投稿日:2022年1月20日  更新日:2022年1月20日

屋根の画像

 

塗装工事の価格は外壁や屋根の面積に材料費や施工費を加えた単価を掛けて計算されているのがほとんどではないでしょうか。

 

そこで、ふと屋根は高い場所にあるし、傾斜もあってどうやって面積を求めるのだろう、と考えたことはありませんか。

 

外壁の長さは下からで実測できますし、高さもおおよそで当てはめようと思えばできます。(もちろん詳細に求めるのなら図面や実測が必要です)

 

屋根の面積を求めるには勾配という用語を知っておく必要があります。

実は勾配という用語は塗装や葺き替えなどの屋根工事に頻繁にでてきます。

そこで今回は屋根勾配や屋根の面積の求め方をお伝えしていきたいと思います。

 

【屋根勾配とは?】

屋根の画像

 

屋根は雨が流れやすくなるように傾斜をつけています。

この傾斜のことを勾配といい、いろいろな家を見てもわかるように勾配はいろいろな角度があります。

家によって設けられている屋根勾配は違い、水平長さが一緒でも勾配が変われば屋根面積も異なります。

 

屋根勾配は水平寸法10に対して立ち上がりがあり、1寸、1寸5分、など寸と分で表しています。

6寸以上は急勾配といわれていて、勾配が急になるほど屋根の角度はきつくなります。

反対に3寸以下は緩勾配といい、勾配が低いほど水平に近く角度がゆるいです。

 

【屋根勾配が急だと屋根足場が必要】

屋根の画像

 

屋根勾配が工事にどんな関係があるのか気になるのではないでしょうか。

屋根勾配は工事をする職人だけでなく、工事を依頼する施主にも関係してきます。

 

では、どう関係してくるのかということですが、屋根が急勾配な場合は、屋根足場が必要になり、施工性も悪くなるため工事費用が高くなる傾向にあるということです。

 

急勾配の屋根は傾斜がきついため、足で踏んばる必要があり、作業場として負担が大きくなります。

工事は何時間も続けて作業するため、屋根面だけで体を支えるのはきつく、安全性にも欠けます。

 

そこで体への負担を軽減し、施工性を上げるために屋根足場を設置します。

屋根足場は足や体を支えられるように屋根の上に組んだ足場のことです。

 

通常の足場に追加して屋根足場を組むため、費用は高くなりますが、職人の安全性と施工性を向上させるために屋根足場は必要です。

また、勾配が急だと棟まで高くなりますから、足場の飛散防止ネットも設置面積が増えます。

 

屋根塗装についてはこちらから

 

【屋根勾配の伸び率】

傾斜がついている屋根の面積を計算するにはどうすればいいか。

水平長さだけでは面積は出せませんし、一般の方が屋根を登るのは非常に危険です。

 

実測できない場合、屋根面積を求めるときは屋根勾配の伸び率を使えば計算ができます。

以下が屋根勾配ごとの伸び率になります。

 

1寸(1/10):1.001(水平長さに対しての勾配伸び率)

2寸(2/10):1.011 

3寸(3/10):1.044

4寸(4/10):1.077

5寸(5/10):1.118

6寸(6/10):1.166

7寸(7/10):1.221

8寸(8/10):1.281

 

勾配伸び率は水平寸法に対して斜辺を求めるための倍率です。

例えば5寸の場合は水平寸法10に対して5立ち上がった時、斜辺を求める伸び率は 1.118の倍率になります。

それでは次にこの伸び率を使って屋根の面積を求めていきます。

 

屋根葺き替えについてはこちらから

 

屋根カバー工法についてはこちらから

 

【屋根面積の計算方法】

計算の画像

 

屋根面積を求めるときにもう一つ必要になるのが屋根投影面積です。

屋根投影面積とは、上から屋根を見たときの面積です。

 

屋根投影面積は図面で確認することができます。

また、1階床面積に軒の出(外壁から突き出た軒の長さ)の面積を加算すれば屋根投影面積を求めることができます。

この屋根投影面積と勾配伸び率を乗じることで屋根面積を求めることができます。

 

「屋根投影面積×勾配伸び率=屋根面積」

 

例えば5寸勾配、屋根投影面積が100㎡の場合は以下の計算になります。

 

「5寸勾配:屋根投影面積:100㎡×屋根勾配伸び率1.118=111.8㎡」

 

【計算した面積は他と完全に一致するわけではありません】

見積もりの画像

 

ここまで屋根勾配と面積の求め方をお伝えしました。

勾配は図面に記されているため、違いが出ることはありませんが、屋根投影面積は実測か図面で求めるかで数字に多少違いが出てきます。

 

また、築年数が経っていると図面上と数字がずれていることが多いです。

あまりにも数字が違う場合は要注意ですが、まったく同じ数字になるということはほとんど稀と言えるでしょう。

ただし、業者から提示された面積を鵜呑みするのではなく、計算方法などは説明をもらっておくことをお勧めします。

 

【屋根材ごとの必要勾配】

屋根勾配によって使える屋根材が変わることはご存知でしょうか。

以下に屋根材ごとの必要勾配を書きましたのでご覧ください。

 

スレート:3寸以上

ガルバリウム鋼板:2.5寸以上

瓦棒:1.5寸以上

立平:0.5寸以上

瓦:4寸以上

 

このように屋根材には必要勾配があり、屋根材が求める勾配以下の屋根には葺くことができません。

屋根工事を考えている方は、屋根材を選ぶ時の参考にしてください。

 

【建築用語を覚えておくと打ち合わせに役立ちます】

勾配、ケラバ、軒先、ケレン、取り合い部、などなど建築用語はたくさんあります。

工事の打ち合わせでもこういった建築用語は頻繁に出てきます。

 

担当者はなるべくわかりやすいように伝えると思いますが、工事を依頼する側も建築用語を知っておけばいちいち聞く必要がありませんので、打ち合わせがスムーズに進むでしょう。

 

覚えることは多いかもしれませんが、工事に関わる用語を知っておくだけでも業者が説明していることを理解でき、トラブル回避にも繋がります。

 

ただし、わからないことや不明点をそのままにしておくのは禁物です。

もし、説明が必要なことがありましたら、遠慮せずに質問して問題を解決しおきましょう。

 

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