タスペーサーの重要性 ~雨漏りから屋根を守る、タスペーサーとは
投稿日:2019年3月15日 更新日:2023年10月23日
屋根塗装は「縁切り(えんぎり)」や「タスペーサー」という工程があります。
塗装工程は外壁と基本的に同じなのですが、屋根塗装にかぎってはこの「縁切り」や「タスペーサー」が見積もりの項目にあるはずです。
「縁切り」と「タスペーサー」は簡単に説明しますと、
縁切り:塗装後、屋根材と屋根材の間に隙間を作る作業
タスペーサー:縁切りを簡単に行える道具
となります。
縁切りは屋根塗装を行う上で雨漏りを防ぐ大事な作業です。
(ただし、すべての屋根で必要な作業ではありませんので、ルーツではきちんと屋根の状態を確認してから必要であればご提案しています。)
ここではタスペーサーを中心に解説していきます。
【縁切りはスレート屋根やスレート瓦の屋根の塗り替え時に必要な作業(商品名だとカラーベストやコロニアル)】
スレート屋根 |
スレート瓦 |
縁切りは屋根塗装を行う上で雨漏りを防ぐ大事な工程です。
屋根材は一枚ずつ上に重ねて葺いてあり、重なりのところには隙間があります。
この隙間は侵入した雨水や湿気を外に逃す役割を持ちます。
縁切りをせずに塗装するとこの隙間を塞いで雨漏りを引き起こしてしまうため、屋根塗装を行う際は、必ず縁切りを行う必要があります。
【屋根を塗装すると塗膜で密閉されて必要な隙間がなくなってしまう】
屋根材の重なりのところは、特別密閉されているわけではなく、ただ載せているだけなので隙間があります。
隙間があると雨漏りを心配されるかもしれませんが、屋根自体が完全に密閉されていませんので、どこかしらで雨水は屋根材の下に入ってしまいます。
しかし、そこで雨漏りを起こさないのは、屋根材の下にルーフィングが敷設してあるからです。
屋根はルーフィングが防水の要となっております。
ルーフィングがしっかりしていればよほどのことがないかぎり屋根から雨漏りしません。
ですが、屋根塗装を行う際は、少し注意する必要があります。
前述にあるように屋根材と屋根材の間には隙間があります。
この隙間は塗装すると塗膜で塞いでしまうため、侵入した雨水が外に逃げにくくなります。
また、水気も帯びますから、屋根材の下で湿気がこもってしまいます。
屋根材の下で水が溜まるとルーフィングや野地板などの劣化が早まり防水性能がだんだん低下します。
そして、そのまま放っておけばいずれ雨漏りします。
せっかく屋根を塗装したのに雨漏りしてしまっては困りますよね?
そこで重要となってくるのが「縁切り」です。
【密閉を防ぎ、屋根材と屋根材の間に隙間を作るのが「縁切り」】
縁切りは屋根材と屋根材との間に隙間を作る作業のことです。
縁切りの方法は「カッターや皮スキなどを使って塗膜を切り込む従来の方法」と「タスペーサーを差し込む方法」があります。
縁切りで隙間を確保することで、雨水や湿気が外に逃げて正常な状態を保つことができます。
従来の方法は塗装が仕上がった後に縁切りを行うため、屋根を傷つけたり、汚してしまったりする欠点がありました。
また、職人が手作業で隙間を設けていくため、時間もかかりました。
こういった問題を解消したのがタスペーサーです。
それでは次にタスペーサーについて解説いたします。
縁切りについてはこちらの「下地調整の重要なポイント5 縁切り作業」をご覧ください。
【縁切りを簡単にする「タスペーサー」】
タスペーサーは縁切りを簡単に施工できる道具です。
厚さ2mmほどのポリカーボネート製の部材でして、屋根材と屋根材の間に差し込んで使用します。
タスペーサーを差し込むと、その厚さ分屋根材が持ち上がり、隙間を確保します。
タスペーサーで施工するメリットはこちらの3点があります。
①屋根を傷つけず、美観を保つ、②工期短縮、③価格が安い
こちらの3点について具体的に解説していきます。
【①屋根を傷つけず、美観を保つ】
従来の縁切り方法は塗装が仕上がった後に行っていましたが、タスペーサーなら下塗りの段階で縁切りができます。
仕上がった屋根に触れませんから、傷や汚れがつかずきれいな仕上がりになります。
従来の縁切りとタスペーサーを設置する各工程はこちらです。
【タスペーサーの工程】
1:下地調整
2:下塗り
3:タスペーサー設置
4:中塗り
5:上塗り
【従来の縁切りの工程】
1:下地調整
2:下塗り
3:中塗り
4:上塗り
5:縁切り
屋根塗装の流れについてはこちらの「屋根塗装の流れと作業内容」をご覧ください。
【②工期短縮】
従来の縁切り方法だと職人が手作業で一枚一枚行っていくため、作業時間がかかっていました。
一般的なお宅の屋根だと職人2人で行っても作業時間は約1日かかってしまいます。
タスペーサーなら部材を挿入するだけですから、施工性が良くて工期短縮につながります。
タスペーサーを用いれば職人1人で行っても約2時間程度で終了します。
精度も従来の方法よりもタスペーサーのほうが安定しています。
【③価格が安い】
タスペーサーはコストの面でもメリットがあります。
従来お年切り方法は人件費が1日分かかるため、5〜6万円の費用が掛かります。
それに代わり、タスペーサーは単価が1個20〜50円程度。
20坪から30坪くらいのお宅の場合は、700〜1000個ほど必要とされており、費用は1.5〜5万円程度で済みます。
【最後に】
屋根塗装は縁切りをしないと雨漏りを起こすリスクが高くなります。
せっかく塗装したのに雨漏りしてしまっては意味がありません。
これから屋根塗装をされる方は、必ず縁切りの工程があるかご確認ください。
現在ではタスペーサーを設置するのが一般的です。
しかし、屋根の状態や勾配などで縁切りが不要な場合やタスペーサーを設置できない場合もあります。
ルーツでは、お住まいの屋根をしっかりと調べさせていただいた上で、縁切りが必要な屋根であれば、タスペーサーでの縁切りをご提案させていただいています。
屋根の状態に少しでも不安な点があれば、お気軽にお問い合わせくださいね。
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